●鉄が、普通の鉄なのか、「はがね」なのか。
最初に進展を見たのは前者の問題でした。2008年4月20日、日本の新聞が次のような記事を配信しました。これが、表のNo.3です。
○紀元前22世紀、世界最古の鋼 トルコの遺跡から出土
トルコのカマン・カレホユック遺跡で出土した鉄片が、紀元前22世紀ごろの鋼であることがわかった。鉄製品としては世界で最古。「鉄の生産技術が、現在のトルコにあたるアナトリア半島で独自に生まれた可能性が高まった」と関係者は話している。
鉄片は長さ約2~6センチで、うち1点は鋼。出土した粘土板文書や炭化物の放射性炭素年代などから、現地にメソポタミアのアッシリア商人が植民地を築いたり、鉄の帝国として知られるヒッタイトが建国されたりするより前の、紀元前 22~20世紀のものと考えられている。 (朝日新聞、宮代栄一)
分析された鉄片は3片。2001~2002年に見つかったものです。そのうちのひとつが「はがね」で、あとの2点は、鉄の原料である赤鉄鉱と、焼けてガラス化した粘土――これは鉄生産の際に使われた炉の一部と考えられます――の中にごく小さな鉄が固着したものと分かりました。
そのとき新聞が配信した「世界最古の《はがね》」が、図4です。こんな小さな鉄片が、世界史の常識を覆したのです。
そのとき新聞が配信した「世界最古の《はがね》」が、図4です。こんな小さな鉄片が、世界史の常識を覆したのです。
ところが、この記事から約1年後、例の愛媛大学でのシンポジウムから半年もたたない2009年3月26日、今度は「世界最古の鉄器、トルコで発見」の記事が掲載されます。これが、冒頭の表のNo.5です。
●図4の本物の写真と記事⇒「紀元前22世紀、世界最古の鋼 トルコの遺跡から出土」朝日新聞(2008年04月20日)http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200804190201.html
●中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所
●中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所
http://www.mineprofs.org/info/research/SOMP-05-Research-Ancient%20Metallurg-Ozbal.pdf
(C)Dr.Kazuko OKADA
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